「GA4を毎月チェックしているけれど、見ているのはいつも『集客』の画面だけ」——このような状態になっていませんか。
GA4の左メニューを開くと、レポートの項目がいくつも並んでいます。しかし、どれが何を教えてくれるのか分からないまま、なんとなく馴染みのある集客レポートだけを眺めて終わってしまう、というケースは少なくありません。せっかく毎月GA4を開いていても、これでは本来得られるはずの改善のヒントを見逃してしまいます。
GA4には、訪問者が「どこから来たか」だけでなく、「サイト内でどう行動したか」「また来てくれているか」「どんな人が見ているか」を確認できるレポートがそろっています。これらを組み合わせて読めるようになると、集客レポートだけでは分からなかった改善のヒントが見えてきます。
この記事では、GA4のレポート全体の構成と、集客以外に見るべき主要レポートの読み方、そして分析を一段深めるための比較機能・探索レポートの使い方を解説します。
GA4を開いても、どこを見ればいいか分からない理由
GA4のレポートが分かりにくく感じるのは、メニューが「今知りたいこと」ではなく「データの種類」で分類されているためです。
「問い合わせが増えない原因を知りたい」と思ってGA4を開いても、「原因」という名前のレポートはありません。原因を探るには、集客・エンゲージメント・維持率など、複数のレポートを目的に応じて使い分ける必要があります。この使い分けが分からないと、レポートの数だけ多くて、結局どこから手をつければいいのか迷ってしまいます。
また、GA4は集客レポートに限らず、多くのレポートで英語の専門用語がそのまま使われています。「エンゲージメント」「維持率」といった言葉を見ても、日本語の意味は分かっても、実務でどう使えばいいのかまではイメージしにくいという声もよく聞きます。
つまり、GA4を使いこなすための最初の一歩は、個々の指標の意味を覚えることよりも、「どのレポートが何を教えてくれるのか」という全体の地図を持つことです。地図さえあれば、「今知りたいことは、どのレポートを見れば分かるか」を逆引きできるようになります。
GA4のレポートは、2つの「コレクション」でできている
GA4の左メニューから「レポート」を開くと、あらかじめ「ライフサイクル」と「ユーザー」という2つの「コレクション」(レポートのまとまり)が用意されています*1。
このうち「ライフサイクル」の中には、さらに4つのレポート群があります。
| 分類 | 主なレポート | 分かること |
|---|---|---|
| 集客 | 集客サマリー・ユーザー獲得・ トラフィック獲得 | 訪問者がどこから 来たか |
| エンゲージメント | エンゲージメント概要・ ページとスクリーン | サイト内で どう行動したか |
| 収益化 | eコマース購入など | 購入・売上に つながったか |
| 維持率 | 維持率の概要 | また訪れて くれているか |
もう一方の「ユーザー」コレクションには、ユーザー属性・テクノロジーという2つのレポート群があり、どんな人が見ているかを確認できます。
なお、プロパティ作成時に「ビジネス目標」を選択している場合、ライフサイクルコレクションの代わりに「ビジネス目標別コレクション」が表示されることがあります。また、管理者はレポートに表示するメニューを追加・削除できるため、この記事と実際の画面のメニュー名や並び順が完全には一致しないことがあります。その場合も、レポート自体(集客・エンゲージメント・維持率・ユーザー属性など)は名前を変えて存在していることが多いので、本記事の内容を手がかりに探してみてください。
このうち「収益化」は、ECサイトのように購入機能があるサイト向けのレポートです。問い合わせや資料請求が目的のコーポレートサイトでは、当面は使わなくても問題ありません。
その代わりに欠かせないのが「キーイベント」です。問い合わせ完了や資料請求完了をキーイベントとして設定しておくと、この先で紹介する集客・エンゲージメント・維持率のどのレポートを見るときも、その数字が実際の成果につながっているかを合わせて確認できます。閲覧数や再訪率が良くても、キーイベントに結びついていなければ、改善の優先度を見直す必要があります。
一方、集客・エンゲージメント・維持率・ユーザーの4つは、業種を問わずほとんどのホームページで役に立ちます。それぞれ役割が異なり、集客は「入口」、エンゲージメントは「サイト内での過ごし方」、維持率は「戻ってきているか」、ユーザーは「どんな人か」を教えてくれます。次の項目から、集客以外の3つを順に見ていきます。
集客レポートは、まず位置づけだけ押さえておく
集客レポートには、「集客サマリー」「ユーザー獲得」「トラフィック獲得」という3つの入り口があり、それぞれ検索・SNS・広告など、訪問者がどこから来たかを確認できます。
チャネルの分類ルールや、「Direct」に紛れ込みやすい流入の正体など、集客レポートの詳しい読み方は「GA4の集客レポート、その数字は正しく読めていますか?」で扱っています。トラフィック獲得レポートの数字の見方に迷ったときは、あわせて確認してください。
集客レポートで「どこから来たか」が分かっても、それだけでは「来た人が満足しているか」「また来てくれるか」までは分かりません。本記事では、集客の次に見るべき3つのレポート——エンゲージメント・維持率・ユーザー属性を中心に解説します。
エンゲージメントレポートの見方
エンゲージメントレポートでは、訪問者がサイトに来たあと、どのページを見て、どれくらいの時間サイトに向き合っていたかを確認できます*2。GA4の左メニューから「レポート>ライフサイクル>エンゲージメント」を開くと確認できます。
見るべき指標は、主に次の3つです。
- ページとスクリーン — どのページが多く見られているか
- 平均エンゲージメント時間 — 1ユーザーあたり、サイトに向き合っていた平均時間
- エンゲージメント率 — 「10秒を超えて継続した」「キーイベントが発生した」「ページビュー・スクリーンビューが2回以上あった」のいずれかを満たしたセッションの割合*3
「ページとスクリーン」のレポートでは、ページごとの閲覧数と平均エンゲージメント時間を並べて確認できます。閲覧数が多いのに平均エンゲージメント時間が短いページは、優先的に見直す価値があります。
例えば、税理士事務所のホームページで「顧問料金」ページの閲覧数が多いのに、平均エンゲージメント時間が極端に短いとします。この場合、料金への関心はあるものの、知りたい情報にすぐたどり着けず、途中で離脱している可能性があります。金額の目安が下の方に配置されている、専門用語が多く読みにくい、といった原因が考えられます。
反対に、閲覧数は少ないもののエンゲージメント率が高いページは、内容が読まれている可能性があるものの、そこにたどり着く導線が弱い可能性があります。この場合は、ページの内容ではなく、他のページからのリンクの配置を見直す方が効果的です。
ただし、平均エンゲージメント時間が短いことが必ずしも悪いとは限りません。営業時間や電話番号のように、探していた情報がすぐ見つかって短時間で満足した、というケースもあります。時間の長さだけで判断せず、そのページ経由でキーイベントに至っているかどうかも合わせて確認すると、判断を誤りにくくなります。
エンゲージメントレポートは、集客レポートで「どこから来たか」を確認したあと、「来た人がサイト内でどのように反応しているか」を確認する役割を持っています。
維持率(リテンション)レポートの見方
維持率レポートでは、初めてサイトを訪れた人が、その後どれくらい戻ってきているかを確認できます*4。「レポート>ライフサイクル>維持率」から確認でき、初回訪問から1日後・7日後・30日後といった経過日数ごとに、再訪した人の割合がグラフで表示されます。
このレポートが役立つのは、特に検討期間が長い業種です。BtoB企業や士業のように、1回の訪問ですぐ問い合わせに至らないサービスでは、初回訪問の数字だけで「反響がない」と判断すると見誤ることがあります。
初回訪問後の1週間・1ヶ月で再訪する人が一定数いれば、サイトの内容そのものは検討材料として機能しており、問い合わせに至るまでに時間がかかっているだけ、という見方ができます。逆に再訪がほとんどない場合は、初回訪問時点で興味を失われている可能性があり、コンテンツの見直しを検討すべきサインになります。ただし、再訪が少ない・多いという傾向だけで断定せず、実際にキーイベント(問い合わせ・資料請求など)につながっているかとあわせて確認することをおすすめします。
士業やBtoB企業のように比較検討に時間がかかる業種では、初回訪問だけで判断せず、1〜2ヶ月分のデータを蓄積してから維持率の傾向を確認することをおすすめします。短期間のデータでは、たまたま再訪が少なかっただけなのか、継続的な傾向なのかを見分けにくいためです。
ユーザー属性レポートの見方
「ユーザー」という分類には、訪問者の地域・年齢層・性別といった傾向を確認できる「ユーザー属性」レポートがあります*5。「レポート>ユーザー>ユーザー属性」から、概要と詳細の2種類のレポートを確認できます。
デバイスの種類(パソコン・スマートフォン・タブレット)は、同じ「ユーザー」分類の中にある「テクノロジー」という別のレポートにまとまっています。
なお、年齢層・性別のデータは、Googleシグナルを有効にし、データ共有に同意したユーザーからのみ取得されます。訪問者全員の内訳ではなく、あくまで一部から推定した参考値である点に注意してください。人数が少ない場合は、プライバシー保護のためデータが表示されないこともあります*6。
業種によって、見るべき項目は変わります。
| 業種 | 確認すべき問い | 活用の仕方 |
|---|---|---|
| 店舗・飲食店 | 地域データが実際の 商圏に収まっているか | 商圏外が多ければキーワードや 地域情報の見直しを検討する |
| BtoB企業 | デバイス別のキーイベント率に 差がないか | 率が低い方のデバイス体験を 優先的に見直す |
| 美容室・サロン | 年齢層・性別が想定 ターゲットと合っているか | ズレがあれば発信内容や ターゲット設定を見直す |
例えば、地域密着型の店舗であれば、訪問者の地域データが実際の商圏(来店可能な範囲)と一致しているかを確認します。商圏外からの訪問が多い場合、検索されているキーワードが広すぎる、または地域名を含む情報が不足している可能性があります。
BtoB企業の場合は、デバイスの比率を確認します。ただし、パソコンからの閲覧が多いからといって、スマホでの見やすさを下げてよいわけではありません。両方の閲覧性を維持したうえで、デバイスごとのキーイベント率(問い合わせ・資料請求の発生割合)を比較し、数字が低い方のデバイス体験から優先的に見直す、という判断の仕方が安全です。
比較(Comparisons)機能でレポートをかけ合わせる
ここまで紹介した各レポートは、単体で見るだけでも参考になりますが、「比較」機能を使うと、条件をかけ合わせてより具体的に分析できます*7。
使い方は、次の3ステップです。
- レポート画面の上部にある「比較を追加」をクリックする
- ディメンション(例:デバイスカテゴリ)を選ぶ
- 絞り込みたい値(例:mobile)を選んで適用する
例えば、「デバイスカテゴリ=モバイル」という比較条件を、集客レポートに追加すると、スマホ経由の訪問者だけの流入チャネルを確認できます。
ここで注意したいのが、条件の重ね方によって結果が変わることです。「スマホで検索してサイトに来た人」のように、複数の条件をすべて満たすデータだけに絞り込みたい場合は、比較をもう1つ追加するのではなく、同じ比較の中にある「+新しい条件を追加」から「チャネル=Organic Search」を重ねます。同じ比較の中に追加した条件は、AND条件として評価されます*7。
一方、「比較を追加」で別々の比較を2つ用意した場合は、絞り込まれるのではなく、「モバイル全体」「Organic Search全体」という2つのデータが色分けされて並んで表示されるだけで、両方を満たす人だけに絞り込まれるわけではありません。目的に応じて、この2つの使い分けが必要です。
全体の数字だけを見ていると気づきにくい傾向も、条件をかけ合わせることで見えてくることがあります。集客・エンゲージメント・ユーザー属性のいずれのレポートでも使える機能なので、まずは1つの条件を追加することから試してみてください。
探索(Explore)レポートは、存在を知っておくだけで十分
GA4には、標準レポートよりも自由度の高い「探索」という機能もあります。フリーフォーム・ファネルデータ探索・経路データ探索など、目的に応じた形式が用意されています*8。
代表的な形式には、次のようなものがあります。
- フリーフォーム — 好きなディメンションと指標を自由に組み合わせて表を作る
- ファネルデータ探索 — 「トップページ→サービスページ→問い合わせ完了」のように、複数ステップの離脱率を確認する
- 経路データ探索 — ユーザーがページをどんな順番で移動したかを、ツリー状の図で確認する
例えば、「問い合わせフォームのどのステップで離脱が多いか」を知りたい場合、標準レポートでは確認しにくいため、ファネルデータ探索が向いています。ただし、探索レポートは自由度が高い分、設定項目も多く、使いこなすには標準レポートよりも慣れが必要です。最初から探索レポートを使いこなそうとする必要はありません。
「標準レポートでは知りたいことが確認できない」という壁にぶつかったときに、選択肢として存在を知っておく程度で十分です。日常的な確認は、ここまで紹介した集客・エンゲージメント・維持率・ユーザー属性の標準レポートとキーイベントで、ほとんど対応できます。
複数のレポートを組み合わせて読む
GA4を分析に活かすコツは、1つのレポートだけで判断せず、複数のレポートを組み合わせてストーリーとして読むことです。
例えば、ある士業事務所のホームページで、次のような状況だったとします。
- 集客レポート:Organic Search経由の新規訪問が多い
- エンゲージメントレポート:主要ページの平均エンゲージメント時間が短い
- 維持率レポート:初回訪問後の再訪がほとんどない
この3つを組み合わせると、「検索で来てはいるが、ページの内容が期待とズレていて、そのまま離脱している」という仮説が立てられます。単に「アクセス数を増やす」のではなく、ページの内容や構成を見直す方が優先度が高いと判断できます。
もう1つ、店舗のホームページを例に考えてみます。
- 集客レポート:Organic SocialからのInstagram経由の訪問が増えている
- ユーザー属性レポート:訪問者の年齢層は、想定していた客層よりも若い層が多い
- エンゲージメントレポート:「メニュー」ページのエンゲージメント率が高い
この場合、SNS経由で新しい客層に興味を持ってもらえていて、メニューの内容もしっかり読まれている、という好意的な仮説が立てられます。次の一手としては、その客層に合わせた予約導線やキャンペーン情報を強化する、といった施策が検討しやすくなります。
このように、レポートを組み合わせて読むと、「何が起きているか」だけでなく「なぜ起きているか」まで仮説を立てられるようになります。
なお、「毎月どの数字を確認するか」という運用の手順は「ホームページのアクセス解析とは?」で紹介しています。本記事で扱ったのは、月次の確認とは別に、複数のレポートをどう組み合わせて1つの仮説にたどり着くかという読み方の考え方です。
自社で見るか、外注すべきか
ここまで紹介したレポートは、数字を確認するところまでは自社でも十分対応できます。一方で、仮説を立てて施策に落とし込むには、専門知識が必要になる場面もあります。
| 自社でできること | 外注した方がいいこと |
|---|---|
| 各レポートを開き、数字を確認する | 複数のレポートを組み合わせた原因分析 |
| 業種に合わせて重視する項目を選ぶ | 比較・探索レポートを使った深掘り |
| 気になる変化に気づく | 分析結果を踏まえた改善提案・実装 |
特に、比較機能で条件を組み合わせても「結局どれが問題なのか判断がつかない」という場合は、複数のレポートを横断して見る経験が必要になります。数字は見えているのに次の一手が決まらない、という状態が続くようであれば、自社での分析に限界を感じた段階として、専門家に相談するのも一つの選択肢です。
よくある質問
GA4のレポートは、全部見る必要がありますか?
いいえ、必要ありません。まずは集客・エンゲージメント・維持率・ユーザー属性の4つと、問い合わせ完了などのキーイベントを押さえれば、日常的な分析にはおおむね対応できます。収益化レポートは、購入機能があるECサイトなど、該当する場合のみ確認すれば問題ありません。
エンゲージメント率は何%あれば良いのですか?
業種やページの役割によって適正な水準は異なるため、一律の目安はありません。自社の過去の数字や、ページ同士を比較して、極端に低いページがないかを確認する方が実務的です。
維持率レポートは、どのくらいの期間で確認すればいいですか?
最低でも1ヶ月分、可能であれば1〜3ヶ月分のデータを蓄積してから傾向を見ることをおすすめします。初回訪問からの経過日数が短いうちは、再訪の有無を正しく判断しにくいためです。
比較機能を使うと、データが重くて表示が遅くなりませんか?
比較する条件を増やしすぎると表示に時間がかかることがあります。まずは1〜2個の条件から試し、必要に応じて絞り込みを追加する進め方をおすすめします。
ユーザー属性のデータは、どこまで詳しく取得できますか?
年齢層や性別は、Googleが推定したおおよその傾向であり、全訪問者を正確に特定できるわけではありません。あくまで大まかな傾向をつかむための参考情報として活用してください。
探索レポートは、無料版のGA4でも使えますか?
使えます。探索レポートは、無料版・有料版(GA4 360)を問わず利用できる標準機能です。ただし、無料版では確認できるデータの期間や行数に一部制限があります。
エンゲージメントレポートと維持率レポート、どちらを先に見るべきですか?
迷ったときは、エンゲージメントレポートを先に見ることをおすすめします。サイト内での行動に大きな問題がある場合、そこを直さないまま再訪を増やそうとしても、効果が出にくいためです。まず来訪後の行動を整えたうえで、維持率の推移を確認する順番が基本です。
まとめ
GA4のレポートは、「ライフサイクル」という分類の中に、集客・エンゲージメント・収益化・維持率の4つがあり、これに「ユーザー」という分類が加わります。集客レポートだけでなく、エンゲージメント・維持率・ユーザー属性のレポートを組み合わせることで、訪問者がどこから来て、サイト内でどう行動し、また戻ってきているかまで確認できます。
さらに、比較機能を使えば条件をかけ合わせた分析ができ、標準レポートで足りない場合は探索レポートという選択肢もあります。1つのレポートの数字だけで判断せず、複数のレポートを組み合わせてストーリーとして読むことが、GA4を分析に活かす一番のコツです。
最初からすべてのレポートを完璧に使いこなす必要はありません。まずは集客・エンゲージメント・維持率・ユーザー属性の4つのレポートと、問い合わせ完了などのキーイベントを、月1回のペースで順番に確認することから始めてみてください。慣れてきたら比較機能を使って条件をかけ合わせ、それでも判断がつかないときに探索レポートを検討する、という順番で十分です。
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