「検索順位は変わっていないのに、アクセス数だけが減っている気がする」——最近、そう感じたことはないでしょうか。
原因のひとつとして考えられるのが、Google検索に表示される「AIによる概要」(英語では「AI Overviews」と呼ばれます)です。検索結果の一番上にAIが生成した回答が表示されることで、その下に並ぶ通常の検索結果がクリックされにくくなる現象が起きています。
この動きに合わせて、Search Consoleにも新しいレポートが追加されました。「生成AIパフォーマンスレポート」と呼ばれるこの機能は、2026年8月31日付けで世界中のすべてのサイトに公開されています*1。「Search Consoleの使い方」でも簡単に紹介しましたが、この記事では、このレポートで実際に何が読み取れるのか、そしてどう活用すればいいのかを、具体的な手順に沿って解説します。
この記事で解決できること
- 生成AIパフォーマンスレポートをどこから開き、何を確認できるかが分かる
- このレポートだけでは、クリック数・CTR・クエリを確認できないことが分かる
- 通常の検索パフォーマンスと組み合わせて、追加調査が必要なページを探せる
先に結論: このレポートだけで「AIによる概要が原因でアクセスが減った」と断定することはできません。生成AI機能で自社サイトへのリンクが表示されたページを把握し、詳しく調べるページを絞り込むためのレポートです。
そもそも「AIによる概要」とは何か
「AIによる概要」(AI Overviews)とは、Google検索の結果画面の上部に表示される、AIが生成した回答のことです。検索キーワードに対して、複数のサイトの情報を要約する形で回答が作られ、その下に参照元としていくつかのサイトへのリンクが並びます。2024年8月に日本向けの提供が始まり、パソコンだけでなくスマートフォンの検索結果でも表示されます。
似た機能に「AIモード」があります。こちらはチャット形式でGoogleと対話しながら検索を深掘りできる機能で、「AIによる概要」よりもさらに踏み込んだ検索体験を提供します。また、検索結果とは別に「Discover」というフィード型の情報配信機能があり、こちらにも生成AIによる要約が組み込まれ始めています。この記事で紹介する検索向けの生成AIパフォーマンスレポートは「AIによる概要」と「AIモード」の2つを対象にしたレポートで、Discoverについては別のレポートが用意されています*1。
これらの機能では、ユーザーがサイトを訪れずに、検索結果の画面内で疑問を解決する場合があります。この現象は「ゼロクリック検索」と呼ばれ、以前から強調スニペットなど一部のキーワードで見られていました。
Search Consoleに追加された「生成AIパフォーマンスレポート」とは
生成AIパフォーマンスレポート(検索)は、Googleの「AIによる概要」「AIモード」といった生成AI機能の中で、自社サイトへのリンクがどれだけ表示されたかを確認できるレポートです*1。
通常の検索パフォーマンスレポートには、生成AI機能を含むGoogle検索全体のデータが集計されています。しかし、その中から「AIによる概要」や「AIモード」での表示だけを分けて確認することはできませんでした。生成AIパフォーマンスレポートは、この生成AI機能内での表示回数を個別に確認するためのレポートです。
Search Consoleの左メニューで「検索パフォーマンス」を展開し、「検索結果」のアコーディオンを開いて、その下にある「生成 AI」を選択すると確認できます。段階的なリリースだったため、これまでは一部のサイトでしか表示されていませんでしたが、2026年8月31日以降はすべてのプロパティで利用できるようになっています。まだ表示されない、またはインプレッションが極端に少ない場合は、データがまだ十分に蓄積されていない、反映に時間がかかっている、あるいはSearch Consoleの「検索の生成AI設定」でサイトを生成AI機能から除外する設定にしている、といった可能性が考えられます*2。
確認できること・できないことを正しく理解する
新しいレポートを使いこなすうえで、まず押さえておきたいのが「何が確認できて、何が確認できないか」です。ここを誤解したまま活用しようとすると、的外れな分析をしてしまいます。
確認できる指標はインプレッション数のみ
生成AIパフォーマンスレポートで確認できる指標は、インプレッション数(表示回数)のみです。通常の検索パフォーマンスレポートにある、クリック数・CTR(クリック率)・平均掲載順位は含まれていません*1。
ディメンションとしては、ページ・国・デバイス・日付の4つで絞り込みができます。ただし、通常の検索パフォーマンスレポートにある「クエリ」での絞り込みは、生成AIパフォーマンスレポートには存在しません。つまり、「どの検索キーワードで『AIによる概要』に表示されたか」までは、このレポート単体では分かりません。
| 項目 | 検索パフォーマンスレポート | 生成AIパフォーマンスレポート(検索) |
|---|---|---|
| 対象 | Google検索全体(生成AI機能のデータも含む) | 「AIによる概要」・AIモード(Discoverは別レポート) |
| 確認できる指標 | クリック数・表示回数・CTR・掲載順位 | 表示回数(インプレッション)のみ |
| 絞り込みの軸 | クエリ・ページ・国・デバイス・日付 | ページ・国・デバイス・日付 |
| 提供開始時期 | 従来から提供 | 2026年8月31日に全世界へ拡大 |
このレポートの「インプレッション数」は、あくまで「サイトへのリンクが表示された回数」を指す指標です*1。ページの内容がAIの回答文そのものに使われたか、そこからクリックされたかどうかまでは意味しません。この違いを知らずに「生成AIパフォーマンスレポートだけを見れば、『AIによる概要』対策の答えが分かる」と考えてしまうと、遠回りをすることになります。次の章で紹介するように、通常の検索パフォーマンスレポートと組み合わせて初めて、実用的な分析ができるようになります。
生成AIレポートを調査に活用する4ステップ
生成AIパフォーマンスレポート単体では、クエリもCTRも分からないという制約があります。そこで、通常の検索パフォーマンスレポートと組み合わせた、次の4ステップで分析を進めます。
この方法で「AIによる概要」固有のCTRや因果関係を確定することはできません。通常の検索パフォーマンスレポートのCTR、生成AIパフォーマンスレポートの表示回数、検索結果の目視確認を組み合わせ、影響の可能性を推測するための分析だと理解してください。
ステップ1:表示回数が多いのにクリックされていないページを探す
まず、通常の検索パフォーマンスレポートを開き、「ページ」タブで表示回数の多い順に並び替えます。その中から、表示回数のわりにCTRが低いページをリストアップします。この時点では、CTRが低い原因が「AIによる概要」によるものか、タイトル・ディスクリプションの問題かは判別できません。あくまで「疑わしいページの候補」を洗い出す段階です。
ステップ2:実際に検索して「AIによる概要」が表示されるか確認する
候補に挙がったページが、どのクエリで表示されているかを「クエリ」タブで確認します。上位に出てくるクエリで実際にGoogle検索を行い、検索結果の上部に「AIによる概要」が表示されるかどうかを目視で確認しましょう。表示された場合は、自社のページへのリンクがその回答内に参照リンクとして挙げられているかも合わせてチェックします。
ステップ3:生成AIパフォーマンスレポートでページ単位のインプレッションを確認する
「AIによる概要」の表示を確認できたら、生成AIパフォーマンスレポートに切り替えて、該当するページのインプレッション数を確認します。ここでインプレッションが計上されていれば、そのページへのリンクが「AIによる概要」または「AIモード」のどちらかの中で実際に表示されていることが裏付けられます。このレポートは両者を合算した数字のため、どちらで表示されたのかまでは特定できません。反対に、実際の検索では「AIによる概要」が出ているのに、このレポートにインプレッションがほとんど計上されていない場合は、自社のページへのリンクがあまり表示されていない可能性があります。ただし、データの反映遅延やしきい値の関係で、表示されていても計上されていないケースもあるため、これだけで断定はできません。
ここで注意したいのは、インプレッションが「サイトへのリンクが表示された回数」を示す指標であって、クリック数やCTRを示す指標ではないという点です*1。インプレッションが計上されているからといって、そこからクリックされたかどうか、あるいはページの内容がAIの回答文そのものに使われたかどうかまでは、この数字だけでは判断できません。あくまで「リンクが表示される機会がどれだけあったか」を把握するための指標として扱ってください。
クエリ単位では突き合わせられない点にも注意が必要です。あるページが複数のクエリで表示されている場合、生成AIパフォーマンスレポートのインプレッション数は、それらすべてを合算したページ単位の数字になります。「どのクエリで表示されているか」まで厳密に特定したい場合は、ステップ2の目視確認を複数のクエリで繰り返す必要があります。
具体例:工務店のホームページで確認する場合
例えば、工務店のホームページで「注文住宅 費用 相場」というクエリの表示回数が多いのに、CTRが極端に低いページがあったとします。
まずステップ2として、実際に「注文住宅 費用 相場」で検索してみると、「AIによる概要」が表示され、坪単価の目安や工法ごとの費用差が要約されていることが分かりました。この時点で、CTR低下の一因として、「AIによる概要」によるゼロクリック検索の影響が疑われます。
続いてステップ3として、生成AIパフォーマンスレポートで該当ページのインプレッション数を確認したところ、一定数のインプレッションが計上されていました。これは、自社のページへのリンクが「AIによる概要」または「AIモード」のどちらかの中で実際に表示される機会があったことを示しています(レポート単体ではどちらかまでは分かりません)。ただし、そこからクリックされたかどうか、通常の検索結果からのクリックとどちらがどれだけ減っているのかまでは、この2つのレポートを組み合わせても正確には特定できません。あくまで「関連性が疑われる」という参考情報として扱いましょう。
この場合の打ち手としては、「AIによる概要」の要約だけでは伝わらない情報、例えば自社独自の施工事例の写真や、地域限定の補助金情報などをページ内で厚く扱うことで、要約では代替できない情報があると判断してもらいやすくする、という方向性が考えられます。
ステップ4:施策前後で数字を比較する
コンテンツを改善した後は、通常の検索パフォーマンスレポートのCTRと、生成AIパフォーマンスレポートのインプレッション数の両方を、一定期間ごとに比較します。両方の数字に動きがあれば、施策の影響を推測する材料になります。ただし、この2つのレポートはそれぞれ別の集計によるもので、「『AIによる概要』経由のクリックがどう変化したか」を直接示す指標はどこにも存在しません。あくまで、通常検索のCTR・生成AIでの表示回数・検索結果の目視確認を組み合わせて、影響の可能性を推測する分析だという前提で見ることが大切です。
調査対象のページを見つけた後に確認すること
影響が疑われるページを見つけても、すぐに「AIによる概要」が原因だと決めつけてはいけません。タイトルやディスクリプション、検索順位、競合ページの変化など、CTRが下がるほかの要因も確認しましょう。そのうえで内容を改善する場合は、次の点を見直します。
- 見出し(h2・h3)ごとに、質問に対する答えを簡潔にまとめる
- 本文中の主張には、一次情報や公式ドキュメントへの出典を明記する
- FAQ形式で、想定される質問と回答をセットで用意する
- 著者情報や実績など、専門性・信頼性が伝わる要素を掲載する
これらは、「AIによる概要」に限らず、通常の検索順位やユーザーの読みやすさにとってもプラスに働く改善です。より体系的なAI検索対策については「AI検索(AIO/GEO)対策ガイド」で解説しています。
とはいえ、自社のページがAI検索に引用されやすい構造になっているかどうかを、感覚だけで判断するのは簡単ではありません。この判断を補助するツールとして、RINIAが提供するSEO診断ツール「Direbase」の「AIOレディネス診断」があります。URLを入力するだけで、AI検索エンジンに引用されやすい構造になっているかを自動で診断してくれるため、どこから手をつけるべきかの当たりをつける材料として活用できます。無料でも一定回数まで試せるので、気になるページがあれば一度診断してみるのもひとつの方法です。
自社で見るか、外注すべきか
| 自社でできること | 外注した方がいいこと |
|---|---|
| 生成AIパフォーマンスレポートを開き、 インプレッション数を確認する | 「AIによる概要」対策としての コンテンツ構成の設計 |
| 表示回数の多いページで 実際に検索して「AIによる概要」の有無を見る | 複数ページを横断した 優先順位づけと改善実装 |
| CTRの低下に気づく | 構造化データなど、 技術的な実装を伴う対応 |
数字の変化に気づくところまでは、自社でも十分に対応できます。一方で、「どのページから優先的に手をつけるべきか」「どのような構成にすれば『AIによる概要』に引用されやすくなるか」といった判断や実装には、SEOとコンテンツ設計の両方の専門知識が必要になる場面が多くなります。
特に難しいのが、「AIによる概要」にリンクは表示されているのに全体のCTRが落ちている場合と、そもそもリンクとして表示すらされていない場合とで、確認すべきポイントが異なる点です。前者はコンテンツの独自性、後者は情報の網羅性や一次情報としての信頼性を見直す、といった対応が一つの仮説として考えられますが、実際の効果はページごとに検証してみないと分かりません。また、「AIによる概要」自体、Googleの仕様変更が今後も続くと見られる領域のため、継続的なキャッチアップが必要な点も踏まえて、自社対応の範囲を見極めるとよいでしょう。
よくある質問
生成AIパフォーマンスレポートが表示されません
段階的なリリースが行われていたため、これまで一部のサイトでしか表示されていませんでしたが、2026年8月31日以降はすべてのプロパティで利用できるようになっています。表示されない、またはインプレッションが極端に少ない場合は、データがまだ十分に蓄積されていない、反映に時間がかかっている、あるいはSearch Consoleの「検索の生成AI設定」でサイトを生成AI機能から除外する設定にしている、といった可能性が考えられます*2。
「AIによる概要」にリンクが表示されれば、クリックされたことも分かりますか?
いいえ、分かりません。生成AIパフォーマンスレポートのインプレッションは、リンクが表示された回数を示す指標です。クリック数やCTRは表示されないため、リンクが表示された後にクリックされたかどうかは、このレポートだけでは確認できません。
生成AIパフォーマンスレポートのインプレッション数が0の場合、対策をしても意味がないですか?
そうとは限りません。インプレッションが0ということは、検索の生成AI機能(「AIによる概要」または「AIモード」)でそのページへのリンクが表示されていない、あるいは表示回数がデータとして計上される基準に達していない状態です。今後、生成AI機能の表示範囲が広がる可能性もあるため、コンテンツの質を高めておくこと自体は無駄になりません。
すべての検索キーワードで「AIによる概要」が表示されるのですか?
いいえ、すべてではありません。Googleは、生成AIによる回答が特に役立つとシステムが判断した場合に「AIによる概要」が表示されると説明しています*4。どのクエリで表示されるかは一律ではないため、自社にとって重要なクエリは実際の検索結果で確認しましょう。
Discoverの生成AI機能も、同じレポートで確認できますか?
いいえ、別のレポートになります。検索向けの生成AIパフォーマンスレポートで対象になっているのは「AIによる概要」と「AIモード」の2つで、Google Discoverの生成AI機能は含まれません*1。Discover経由のインプレッションを確認したい場合は、Search Console内に別途用意されている「生成AIパフォーマンスレポート(Discover)」を確認する必要があります*3。
表示回数が急に増えた場合、何を確認すればいいですか?
まず、そのページに関連するクエリで実際に検索し、「AIによる概要」の表示内容や引用のされ方に変化がないかを確認しましょう。良い引用のされ方であれば問題ありませんが、意図しない文脈で情報が切り取られて引用されているケースもあるため、内容の正確性が保たれているかどうかも合わせて確認しておくと安心です。
まとめ
生成AIパフォーマンスレポート(検索)は、2026年8月31日にすべてのサイトへ公開された新しいレポートで、「AIによる概要」・AIモードでのインプレッション数を確認できます(Discoverは別レポートです)。ただし、確認できるのはインプレッション数(リンクが表示された回数)のみで、クリック数・CTR・クエリの詳細までは分かりません。
実用的な分析のためには、通常の検索パフォーマンスレポートで「表示回数が多いのにクリックされていないページ」を洗い出し、実際の検索で「AIによる概要」の表示を確認したうえで、生成AIパフォーマンスレポートのインプレッション数と突き合わせる、という組み合わせの見方が欠かせません。あくまで影響の可能性を推測する分析であり、因果関係を確定するものではない点は押さえておいてください。
このレポートの役割は、アクセス減少の原因を確定することではなく、生成AI機能で表示されたページを把握し、追加調査の優先順位を決めることです。数字を過大評価せず、通常の検索パフォーマンスや実際の検索結果とあわせて判断しましょう。
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