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Web制作のRFP(提案依頼書)の書き方と保守運用ガイド【2026年版】

Web制作のRFP(提案依頼書)のテンプレートと書き方、保守運用契約のポイント、よくある失敗パターンと対策を解説。発注前に知っておくべき情報をまとめました。

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今井政和Frontend Developer / Executive Director
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RFP(提案依頼書)とは、制作会社に提案を依頼する際の仕様書であり、要件を文書化して各社に同じ条件で提案を求めることで、フェアで正確な比較が可能になります。また、ホームページの保守・運用は制作費と同じくらい重要な予算項目であり、保守を怠るとセキュリティリスクや検索順位の低下など、さまざまな問題が発生します。

この記事では、Web制作20年以上の経験をもとに、よくある失敗パターンと対策、保守・運用で確認すべきこと、RFPの書き方テンプレート、2026年のWeb制作トレンドまでを解説します。制作会社の選び方と見積もりの見方については制作会社の選び方ガイドをご覧ください。

よくある失敗パターンと対策

Web制作20年の経験で見てきた、ホームページ制作会社選びの典型的な失敗パターンを紹介します。同じ失敗を繰り返さないために、対策まで具体的に解説します。

失敗パターン1: 安さだけで選んで品質に不満

状況: 「安くてもホームページがあればいい」と考え、10万円以下の制作会社に依頼。完成したサイトはテンプレートの流用で、デザインの自由度がほぼゼロ。スマートフォンでレイアウトが崩れ、表示速度も遅く、結局1年後にリニューアルが必要になった。リニューアル費用は当初の制作費の3倍以上かかり、最初から品質を重視して制作していれば不要だった出費です。

格安制作でよくある品質の問題:

  • レスポンシブ対応が不完全(スマートフォンでレイアウトが崩れる、文字が小さすぎて読めない)
  • 表示速度が遅い(Lighthouseスコアが30点以下、ページ読み込みに5秒以上かかる)
  • SEOの基本設定が行われていない(メタタグ未設定、h1タグの重複、構造化データなし)
  • コードが汚く、後からのカスタマイズや修正が困難
  • 使用しているプラグインやライブラリがセキュリティ上の脆弱性を抱えている

対策: 費用の安さと品質はトレードオフの関係です。最低限の品質基準(レスポンシブ対応、表示速度、SEO基本設定)を事前に定め、その基準を満たす中で最もコストパフォーマンスの高い制作会社を選んでください。安い見積もりには理由があります。何を省いて安くしているのかを必ず確認してください。

失敗パターン2: 要件が曖昧なまま発注

状況: 「おしゃれなサイトにしてほしい」「いい感じに作ってほしい」という抽象的な要望で発注。制作会社の解釈とクライアントのイメージがずれ、デザイン修正が5回以上発生。修正のたびに追加費用が請求され、最終的に見積もりの1.5倍のコストになった。

対策: 発注前に以下を具体的に言語化してください。

  1. サイトの目的(問い合わせ月○件の獲得)
  2. ターゲットユーザーの人物像
  3. 参考にしたいサイトのURL(3〜5件)+ その理由(「色使いが良い」「導線がわかりやすい」等)
  4. 掲載するコンテンツの一覧
  5. 絶対に外せない機能と、あれば嬉しい機能の区分

失敗パターン3: 制作会社にドメイン・サーバーを握られた

状況: 制作会社がドメインとサーバーを自社名義で管理。サイトの品質に不満があり制作会社を変更しようとしたが、ドメインの移管を拒否された。結局、新しいドメインでサイトを作り直すことになり、これまで積み上げたSEO評価(ドメインパワー)をすべて失った。

対策: ドメインとサーバーは必ず自社名義で管理してください。お名前.comやXserverのアカウントを自社で作成し、制作会社にはアクセス権限だけを付与する形にします。契約前に「ドメインとサーバーは自社名義で管理したい」と伝え、対応可能か確認してください。

失敗パターン4: 公開後の運用を考えていなかった

状況: 50万円かけてコーポレートサイトを作成したが、公開後に更新する体制がなく、ニュースが2年前のまま放置。お知らせ欄に「2024年の年末年始休業のお知らせ」が表示されたままで、訪問者に「この会社は大丈夫?」という印象を与えてしまった。

対策: 制作段階で「誰が、どの頻度で、どのコンテンツを更新するか」を決めてください。更新担当者がいない場合は、制作会社の保守プランに更新代行を含めるか、CMSを導入して自社で簡単に更新できる体制を作ることが重要です。総務省の「通信利用動向調査」(令和5年)によると、自社ホームページを開設している企業の約93%がサイトの定期的な更新を行っていると回答しています。更新されないサイトは信頼を失います。

失敗パターン5: 制作会社に丸投げしてフィードバックが遅い

状況: 「プロに任せるのだからお任せで」と考え、デザイン案の確認に2週間、テキスト原稿の準備に1ヶ月かかった。制作会社のスケジュールに穴が空き、後続の案件を優先されたことで、結果的に制作期間が当初の2倍になった。

対策: 制作会社に任せきりにせず、以下の点を社内で準備してください。

  • テキスト原稿は制作開始前に準備を始める
  • デザイン確認の回答期限は3営業日以内を目標にする
  • 確認担当者と最終決裁者を事前に決めておく
  • 「確認待ち」の期間が長引くと制作会社のリソースが他案件に回されることを理解する

失敗パターン6: 完成後にSEO対策を追加しようとした

状況: サイトが完成した後に「SEOもお願いしたい」と依頼したが、サイトの構造やURL設計がSEOに不適切で、ほぼ作り直しが必要になった。SEO対策の追加費用として50万円以上を見積もられた。

対策: SEO対策は制作後に追加するものではなく、設計段階から組み込むものです。制作会社選びの段階で、SEOの知見があるかどうかを確認し、URL設計・サイト構造・メタタグ・構造化データを含めた提案をもらってください。

失敗パターン7: 契約前に修正範囲を合意していなかった

状況: 「修正は何度でも対応します」と口頭で言われていたが、実際にはデザイン修正3回目から追加費用が発生。口頭の約束は証拠にならず、追加費用を支払うことになった。

対策: 修正回数の上限、追加修正の単価、修正対応の期間を契約書に明記してください。口頭の約束は必ずメールやチャットで文書化し、双方の合意として残しておくことが重要です。

失敗パターンの共通原因

上記の7つの失敗パターンに共通するのは、**発注者と制作会社の間の「期待値のずれ」**です。このずれは、以下の3つの手段で防ぐことができます。

  1. RFPの作成: 要件を文書化して各社に同じ条件で提案を求める
  2. 契約書の精査: 口頭の約束を排除し、すべての条件を書面で合意する
  3. 中間チェックの導入: 制作途中で方向性を確認し、最終段階での「想像と違った」を防ぐ

この3つを実践するだけで、制作プロジェクトの成功率は大幅に向上します。

制作後の保守・運用で確認すべきこと

ホームページの保守・運用は、制作費と同じくらい重要な予算項目です。保守を怠ると、セキュリティリスク、表示崩れ、検索順位の低下など、さまざまな問題が発生します。

保守契約の種類と費用

保守プラン月額費用含まれるサービス
最小限プラン5,000〜1万円サーバー監視、定期バックアップ
標準プラン1万〜3万円上記 + CMS更新、セキュリティパッチ、月2〜3回のテキスト修正
充実プラン3万〜5万円上記 + アクセスレポート、改善提案、月5回の修正対応
フルサポートプラン5万〜10万円上記 + SEO運用、コンテンツ制作支援、広告運用レポート

保守契約で確認すべきポイント

  1. 対応範囲の明確化: テキスト修正は何文字まで? 画像差し替えは何枚まで? 新規ページの追加は含まれるか?
  2. 対応速度: 通常の修正依頼は何営業日で対応されるか? サイトダウン等の緊急時の対応速度は?
  3. 契約期間と解約条件: 最低契約期間はあるか? 途中解約時の違約金はあるか?
  4. レポートの内容: アクセスデータのレポートはあるか? 改善提案は含まれるか?
  5. CMS更新の責任範囲: WordPressのメジャーアップデート時のテーマ・プラグインの互換性テストは含まれるか?

自社で運用する場合のチェックリスト

保守契約を結ばず自社で運用する場合は、以下を定期的に実施してください。

  • 毎月: CMSのアップデート(WordPress本体、プラグイン、テーマ)、バックアップの取得
  • 四半期ごと: サイト全体のリンク切れチェック、問い合わせフォームの動作確認、アクセスデータの分析
  • 半年ごと: SSL証明書の有効期限確認、表示速度のチェック(PageSpeed Insights)、セキュリティスキャン
  • 年1回: サイト全体のコンテンツ見直し、競合サイトとの比較分析、リニューアルの必要性検討

リニューアルのタイミング

ホームページのリニューアルを検討すべきサインは以下の通りです。

  • デザインが古く感じる: 公開から3年以上経過し、競合他社と比較して見劣りする
  • スマートフォン対応が不十分: タップしにくい、文字が小さい、横スクロールが発生する
  • 表示速度が遅い: PageSpeed Insightsのモバイルスコアが50点以下
  • 問い合わせ数が減少傾向: アクセスデータで直帰率が上昇、コンバージョン率が低下
  • CMSのサポートが終了: PHP7系のサポート終了、使用しているプラグインの開発停止等
  • 事業内容やサービスが変わった: サイトの情報が現在の事業と乖離している
  • セキュリティの脆弱性が指摘された: 脆弱性診断で問題が検出された

一般的なリニューアルの目安は3〜5年です。ただし、上記のサインが複数見られる場合は、早めのリニューアルを検討してください。

WordPress構築や保守運用の詳しい解説は「WordPress外注の費用相場と失敗しない発注方法」を参考にしてください。

RFP(提案依頼書)の書き方テンプレート

RFP(Request for Proposal)は、制作会社に提案を依頼する際の仕様書です。口頭での説明だけでは認識のズレが生じるため、RFPを作成して各社に同じ条件で提案を依頼することで、フェアで正確な比較が可能になります。

RFPに含めるべき項目

以下の項目を網羅したRFPを作成してください。A4で5〜10ページ程度が目安です。

1. プロジェクト概要

  • プロジェクト名: 例)「株式会社〇〇 コーポレートサイトリニューアル」
  • 背景と目的: なぜサイトを作る(リニューアルする)のか。事業課題との関連を明記
  • 対象ユーザー: ペルソナ(年齢、職種、課題、行動パターン)
  • KGI / KPI: サイトで達成したい数値目標(例: 月間問い合わせ30件、オーガニック流入月間5,000セッション)

2. サイト要件

  • ページ構成: ページ名の一覧(ツリー形式が理想)
  • 各ページの概要: ページごとの目的と主要コンテンツ
  • デザインの方向性: 参考サイトURL(3〜5件)+ 各サイトの参考にしたい点
  • 必須機能: CMS、フォーム、ブログ、多言語、EC等
  • 技術要件: サーバー環境、CMS指定(WordPress等)、対応ブラウザ

3. 制作条件

  • 予算: 上限額を明示(「100万円以内」「200万円程度」等)
  • スケジュール: 希望する公開日と、中間マイルストーン
  • 素材の提供: テキスト・写真・ロゴデータの準備状況
  • 修正回数: 各工程での修正回数の上限を提示するか、制作会社に提案を求める

4. 運用・保守

  • 更新頻度: 公開後の更新予定(月○回のニュース更新等)
  • 更新担当者: 社内担当者のスキルレベル(HTML知識の有無等)
  • 保守要件: 求めるサポート内容と予算

5. 選定基準

  • 評価項目と配点: 例)実績30点、提案内容30点、費用20点、サポート体制20点
  • 選定スケジュール: 提案期限、プレゼン日程、決定日
  • 提案に含めてほしい内容: サイトマップ案、デザインの方向性、概算見積もり、制作体制

RFP作成のコツ

  • 目的を明確に書く: 「おしゃれなサイトを作りたい」ではなく「月間問い合わせ数を現在の2倍にしたい」と書く
  • 制約条件も正直に書く: 予算、納期、社内体制の制約を隠さず伝えることで、現実的な提案が得られる
  • 完璧を目指さない: RFPは提案を受けるためのたたき台。詳細は提案後の打ち合わせで詰めればよい

2026年のWeb制作トレンドと制作会社選びへの影響

2026年現在のWeb制作トレンドを理解しておくと、制作会社の選定基準をより精度高く設定できます。古い技術やアプローチに固執している制作会社は、長期的なパートナーとして不適切です。

1. AI活用の進展

ChatGPT、Claude、Gemini等の生成AIがWeb制作のワークフローに浸透しています。テキストの下書き、デザインの提案、コーディングの補助にAIを活用する制作会社が増えていますが、AIを使うこと自体が差別化にはなりません。重要なのは、AIの出力を適切に編集・最適化し、人間のクリエイティビティと組み合わせる能力です。

制作会社にAI活用の方針を確認し、「AIで効率化した分を品質向上に充てている」のか「AIで効率化した分を値下げしている」のかを見極めてください。

2. Core Web Vitalsの重要性の継続

Googleの検索ランキング要因としてCore Web Vitals(LCP、INP、CLS)の重要性は引き続き高まっています。ページ速度の最適化に対応できる制作会社を選ぶことは、SEO戦略の基盤となります。

制作会社に確認すべき点は以下の通りです。

  • 過去に制作したサイトのPageSpeed Insightsスコアはどの程度か
  • 画像の遅延読み込み、コード分割、CDN活用などの最適化手法を実践しているか
  • Next.js、Astro等のモダンフレームワークに対応できるか

3. ヘッドレスCMS・Jamstackの普及

WordPress一択の時代から、microCMS、Contentful、Strapi等のヘッドレスCMSとNext.js、Astroを組み合わせた構成(Jamstack)が中小企業にも広がっています。

従来型のWordPress構築と比較した場合のメリットは以下の通りです。

  • 表示速度: 静的生成(SSG)により圧倒的に高速
  • セキュリティ: 動的なサーバーサイド処理がないため、攻撃対象が少ない
  • ホスティングコスト: Vercel、Netlify等の無料プランで運用可能
  • 開発体験: React/Next.jsベースのモダンな開発環境

ただし、ヘッドレスCMSの運用にはWordPressよりも技術的な知識が必要なため、更新担当者のスキルレベルに合わせた選択が重要です。

4. アクセシビリティ要件の強化

2024年4月の障害者差別解消法改正により、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が法的義務化されました。Webサイトのアクセシビリティ対応は、もはや「やったほうがいい」ではなく「やるべきこと」です。

制作会社選びの段階で、WCAG 2.1のA・AA準拠に対応できるかどうかを確認してください。アクセシビリティに対応した実績がある制作会社は、HTML構造の設計力が高い傾向があります。

5. GEO(Generative Engine Optimization)の台頭

ChatGPTやPerplexity等のAI検索エンジンがトラフィックの新しいソースになりつつあります。従来のSEO(Google検索対策)に加えて、AI検索エンジンに情報を正しく引用されるための対策(GEO)が重要になっています。

制作会社にGEO対策への理解があるかどうかは、以下の質問で確認できます。

  • 構造化データ(JSON-LD)の実装に対応しているか
  • llms.txt(AI向けのサイト概要ファイル)を知っているか
  • robots.txtでAIクローラーの制御設定を行っているか
  • コンテンツ設計でAI引用されやすい構造(冒頭の定義文、番号付きリスト、比較テーブル)を意識しているか

まとめ

Web制作の成功は、制作フェーズだけでなく、発注前の準備と公開後の運用にかかっています。

本記事で解説した重要ポイントを整理します。

  1. 失敗パターンの共通原因: 発注者と制作会社の「期待値のずれ」。RFP・契約書・中間チェックの3つで防止できる
  2. 保守・運用: 制作費と同じくらい重要。保守プランの対応範囲・速度・解約条件を事前に確認する
  3. RFP: A4で5〜10ページ。プロジェクト概要・サイト要件・制作条件・運用保守・選定基準の5項目を網羅する
  4. 2026年のトレンド: AI活用、Core Web Vitals、ヘッドレスCMS、アクセシビリティ、GEOの5つを理解しておく

制作会社の選び方と見積もりの見方については制作会社の選び方ガイドをご覧ください。費用の全体像は「ホームページ制作の費用相場と内訳」で解説しています。

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